「人食いバクテリア」って何??
正式名称は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症といいます。近年に見ないほど増加していることが、国立感染症研究所から発表され注目されています。「人食いバクテリア」の俗称をもつほど非常の致死率が高い疾患です。まれでは、ありますが、非常に重篤な症状を来します。アメリカCDCでの報告によると、積極的な治療にも関わらず、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の死亡率は30%~70%と非常に高い致死率となっています。
感染者数が増加
原因菌は、咽頭炎や とびひなどで有名な「A群溶血性レンサ球菌」とよばれるものです。それが、皮膚損傷なまたは粘膜を通って細菌が侵入し、さらに深部組織・血流を通って全身にまで広がり病状が発展します。
日本でも増加中 現在国内でも増加しています。東京都の発表によると、2015年から増加傾向にありましたが、2024年5月時点で過去10年に最多の140例に迫る勢いとなっています。例年は、東京都で年間60~120人程度の報告数です。
原因菌である「A群溶血性レンサ球菌感染症」は小児や若年者におこりやすい感染症なのにも関わらず、劇症型になると50歳以降におこりやすいです。
どんな症状になるのか?
通常、次のような症状から始まります。
•発熱と悪寒
●頻脈・頻呼吸
•吐き気とおう吐
●四肢の疼痛や腫脹
本症で特徴的で一番多い症状は「痛み」です。多くは四肢におこります。そして、24時間~48時間以内に血圧の低下、いわゆる「ショック」が起こり、急速に肺や腎臓、肝臓を中心とした多臓器不全におちいるのです。
また、皮膚が侵入経路になった場合は、非常に特徴的な軟部組織感染症がでてきます。こちらも手足が多いです。皮膚や皮下脂肪は黒ずみ壊死(えし)が進行し、緊急で処置をしなければならない状態になることもあります。
通常の溶連菌感染症とは比べ物にならない、強い全身症状があり、急激な進行を伴うため、緊急入院、集中治療室での管理、場合により緊急手術が必要になる病気です。のどが痛くて食事がとれないといっただけではすまない症状がおこるものと考えてください。
追記:2024年6月以降は感染がやや落ち着いてきています。