アレルゲン免疫療法(舌下療法)
アレルゲン免疫療法とは?
アレルギーの原因となっているアレルゲン(スギ花粉、ダニ)を少量から摂取しつづけることにより、体をアレルゲンに慣らしていく治療法です。アレルギー症状を治す可能性のある治療法と考えられています。治療効果はハウスダウスト(ダニ)で80~90%、スギ花粉症でも70~80%の有効性が認められています。スギ花粉症では20%が症状が消失すると言われています。しかし、効果が出ない方もいらっしゃいますので、すべての方に効果があるわけではなことはご理解ください。
治療期間は?
治療は3~5年継続して行います。その間は1年を通して治療を継続します。スギ花粉症の方は、花粉のシーズンも継続してスギ花粉治療薬を継続します。治療中は1か月に1度の定期受診が必要です。3~5年の治療を行った場合、治療を中断しても効果が持続すると考えられています。その後に症状が再発する場合は、治療を再開することもできます。
服用に関して
舌の下に薬を置き、1分位保持したのち、飲み込みます。薬自体はほとんど味がなく、数秒で溶けてしまいます。その後5分間はうがいや飲食を避けてもらいます。服用前後2時間は激しい運動、入浴を避けてもらいます。そのため、服用は午前中に行うことをお勧めしております。
副作用について
起こる可能性が高いものとしては、口の中や舌などの局所の反応です。口の中がかゆい、ピリピリする、のどのかゆみ、舌の下の腫れなどです。自然に治まることが多いですが、おさまらない場合は抗アレルギー薬などを追加内服したりします。基本的には治療を継続してゆき、徐々に症状があらわれなくなっていきます。頻度はまれといわれていますが、ショックやアナフィラキシー(全身の蕁麻疹、息苦しさや呼吸困難、嘔吐や腹痛など)の重篤な副作用が起こる可能性があります。副作用は治療開始1カ月以内に起こることが多いと言われております。
費用はどれくらいかかりますか?
スギ花粉症とダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎では、治療は保険適応となっています。診察料の他に、薬代として月2000円前後(3割負担の場合)かかります。また、子供医療費助成が適応されます。
2022年4月より、アレルゲン免疫療法に管理料が算定されることになりました。治療開始日に、治療管理料(初回)280点、3割負担で840円、翌月以降は、治療管理料(2か月以降)25点、3割負担で75円かかります。
スギ花粉症(シダキュア)
スギ花粉症に対する治療は、花粉飛散時期を避けて開始することをお勧めます。そのため、6月~11月が開始時期の目安です。治療開始から3カ月してから花粉シーズンを迎えると症状緩和が期待できますので、翌年の花粉症に症状を改善したい場合は、できれば秋までには治療開始しておきたいところです。
服用スケジュールですが、初めの1週間は2000JAU錠を1日1回服用し、副反応などの問題がなければ、翌週から5000JAUの治療をスタートします。現在、シダトレン(スギ治療舌下液)で治療している方は、舌下液から舌下錠への切り替えも行っています。
5歳以上でスギ花粉によるアレルギー性鼻炎がある方が適応です。重症喘息、自己免疫疾患、悪性腫瘍、ステロイド内服中の方、また妊娠中の方は治療が受けられません。
ダニによる通年性アレルギー性鼻炎(ミティキュア)
ダニを原料とするエキスから作られた薬で、ダニによるアレルギー性鼻炎に対しての治療薬です。通年性に症状がある方がおおいので、開始時期に制限はありませんが、梅雨時や秋口などに症状が強くなる方は、その時期を避けて治療開始することをお勧めしております。夏場に症状が和らぐ方が多いため、その時期の開始がおすすめです。
服用スケジュールですが、初めの1週間は3300JAU錠を1日1回服用し、副反応などの問題がなければ、翌週から1000JAUの治療をスタートします。
5歳以上でダニによるアレルギー性鼻炎がある方が適応です。重症喘息、自己免疫疾患、悪性腫瘍、ステロイド内服中の方、また妊娠中の方は治療が受けられません。
(文中画像:鳥居薬品株式会社 アレルゲン免疫療法パンフレットより引用)
【舌下治療を希望の方は必ずお読みください!】
初回の治療導入は、説明、クリニック内での初回投与、アレルギー反応がないかのチェックがありますので、1時間ほどかかります。午前は11時30分まで、午後は17時30分までに来院してください。
過去にアレルギー検査をされた方は、検査結果をお持ちください。
また、治療開始の1週間後にも来院が必要になりますので、ご了承ください。
【スケジュール】
1 初回投与(1日目:クリニックで内服) → 1週目(2日目以降:自宅で内服)
初回の治療では、診察室で治療薬を服用してもらいます。
アレルギー反応がないか15~30分院内に待機してもらいます
問題がなければ、1週間分の治療薬(少ない量の薬:シダキュア2000JAU)を処方します。1週間後に来院してもらいます。
2 2週目(自宅で内服)
副反応があるかどうか確認し、治療薬(通常量の薬:シダキュア5000JAU)を服用します。